時間堂がワークショップをやる理由
時間堂はワークショップ *1 を数多く開催しています。なぜでしょう。
昔話をします。主宰の黒澤世莉は、かつて10代の頃、俳優を目指して演劇の勉強をはじめました。ところが、行きたい学校、学びたい演劇の技術がなかなか見つからない。とても困りました。勉強がしたくても、する場所がない、あっても興味をそそられない。紆余曲折を経て、結果的にスタニスラフスキーとマイズナーを勉強することになりました。
いまではずいぶん状況が変わって、いいレッスンも増えました。なにより新国立劇場演劇研究所が出来たことは、国立の演劇学校がないとふてくされていた私にとっては重大な出来事です。日本国が演劇の価値を認めているかいないかで、演劇を取り巻く環境は全く異なりますから。しかし、国立の演劇学校もたった一つ出来ただけで、限られた人数しかその恩恵には預かれません。
時間堂のワークショップは黒澤世莉の、かつての自分と同じように演劇を学びたいひとに、かつての自分が求めていた魅力のある演劇クラスを提供したい、という思いで運営されています。信頼できる講師を招き、定期的に開催し、継続可能な料金を設定しています。
演劇界は実力の世界です。どんなに努力したって届かない領域はあります。しかし、努力の質を上げることは出来る。時間堂は、音楽家やスポーツ選手が、ユース世代から学びつづけ、職業人になっても基礎トレーニングを欠かさないように、演劇人にも日々の鍛錬の場が必要だと考えています。
「こんな勉強がしたい」「〇〇さんのクラスがとても良かったので開催してほしい」などのご要望があったら、ぜひ教えてください。私たちは、私たちの成長のために、演劇の学びの場を作り続けます。
*1 「ともに学ぶ場」という意味で、先生に生徒が学ぶ場というより、お互いに学び合う場のことです。
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